相続手続には、主に、次の2通りの方法(遺産分割協議・遺言書の作成)があります。
相続手続きは、「資産家の問題で自分たちの家には関係がない」と考える方も多くいらっしゃいます。
しかし、資産家の方の場合、税理士や弁護士により、生前に対策がとられていることも多いため、意外にも相続人の間で揉めることは多くありません。
このことは、次の統計により、数字的にも明らかとなっています。
司法統計(平成30年度)によれば、遺産分割協議が成立せず(話し合いがつかず)、裁判所に持ち込まれ、調停となってしまったもののうち、遺産の総額が1,000万円以下であるものが約33%となっています。
さらには、調停となったもののうちの約76%が、遺産総額5,000万円以下となっています。
また、実際にご相談いただく案件も、まさに、遺産の総額が1,000万円〜4,000万円位の案件が殆どです。
しかも、相続人の間に感情的なもつれがある場合は、数千円〜数万円の額を巡って争うことさえあり、話し合いがつくまでに、数か月以上かかることも珍しくありません。
つまり、一般的な家庭だからこそ、相続の問題はより身近な問題であると考えておくことが必要です。
お亡くなりになられた後、遺言書がない場合に相続人全員の合意で行います。
よって、1名でも合意をしない相続人がいたり、戸籍の調査が不十分で遺産分割協議に参加していない相続人が1名でもいた場合、その遺産分割協議は不成立または無効となります。
「遺産分割協議書の作成について」も、あわせてご覧ください。
生前に、自分の意志で作成します。
「遺言書の原案の作成について」も、あわせてご覧ください。
遺言には、下記に記載された普通方式としての3種類の遺言ほかに、特別方式(危急時や隔絶地という特殊な状況にある場合に適用される4種類の遺言)があります。
「しあわせの空」では、最も安心で確実である「公正証書遺言」をお勧めいたします。
なお、特に「自筆証書遺言」については、専門家の介在がなく作成されることが多いことから、
・「自書」の要件をみたしているのか
・「日付」の記載方法、記載場所は適法といえるのか
・「氏名」の記載方法、記載内容は適法といえるのか
・「押印」の種類、場所は適法といえるのか
・「加除・訂正」の要件をみたしているのか
などについて、数多くの方式違背の判例(事例)があり、せっかく書いた「自筆証書遺言」が無効となったり、遺言無効確認訴訟の対象となってしまったり、遺言内容の解釈が困難となり遺言者の真意と異なって解釈されてしまうなどの可能性があります。
その場合、遺産をめぐる問題は「争族」問題となり、遺産分割協議や遺産分割調停が必要となり、解決はさらに長期化してしまいます。
また、「自筆証書遺言」の内容が、遺言書の発見者に不利な内容だと「偽造・変造・破棄・隠匿」されてしまったりするおそれがあります(その行為をした相続人は相続する資格を失うこととなります。ただし、相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときはその資格を失わないとした判例もあります。)。
さらに、封印のある「自筆証書遺言」を勝手に開封したり、家庭裁判所の「検認」を受けないで、過料に処せられてしまうおそれもあります。
場合によっては他の相続人等から損害賠償請求をされてしまう可能性もありますので、「自筆証書遺言」を作成するには特に注意が必要です。
・本人が「全文、日付、氏名」を自書し、押印する
※2019.1.13から方式が緩和(財産目録は自筆不要)されています。
・費用がかからない
・遺言の存在や内容を秘密にできる
・証人が不要
・いつでも作成、変更ができる
・法定の要件をみたさずに無効となることが多い
・変更する場合にも法定の要件をみたす必要がある
・盗難、滅失、偽造、変造、発見されないおそれがある
※2020.7.10から法務局における保管が可能となっています
・発見されても開封されたり隠されてしまう危険性がある
・本当に本人の遺言なのか争いになる可能性がある
・検認が必要
・公正証書にして公証役場に保管する
・証人の立会いのもと、公証人に遺言の趣旨を説明して公証人が書面化する
・本人、証人、公証人が署名押印する
・最も確実
・滅失、偽造、変造のおそれがない
・再発行してもらえる
・証人や遺言執行者を専門家などにしておくことで秘密は固く守られ、確実に速やかに遺言が執行できる
・無効になるおそれがない
・病気などの事情により公証役場へいけなくても公証人に出張してもらえる
・手話通訳方式や筆談方式でも作成できる
・検認が不要
・費用がかかる
・証人が2名必要(弊事務所でお引き受けします)
・本人または第三者が作成したものを封筒に入れて封印する
・証人の立会いのもと、公証人に提出して住所、氏名などを申述する(内容については申述不要)
・本人、証人、公証人が署名押印する
・本人が作成すれば遺言の内容を秘密にできる
・全文を自書する必要がない(パソコン作成も可)
・偽造、変造のおそれがほとんどない
・費用がかかる
・証人が2名必要
・盗難、紛失のおそれがある
・発見されないおそれがある
・発見されても開封されたり隠されてしまう危険性がある
・遺言が無効になるおそれがある
・手続きが煩雑なわりに確実性に欠ける
・検認が必要