遺言の執行について

「遺言の執行」とは、遺言書に書かれている内容を実現することです。

 

遺言事項(【法定の遺言事項】参照)のうち、一定のもの(未成年後見人・未成年後見監督人の指定、相続分の指定や指定の委託、相続開始から5年を超えない期間での遺産分割の禁止、相続人相互間での担保責任の分担、遺言執行者の指定や指定の委託など)は、遺言の執行は不要です。
※ただし、執行の余地がある、あるいは、執行者の必要性があるとする見解もあります。

 

しかし、その他の遺言事項は、遺言が効力を生じても、その内容の実現のために遺言の執行を必要とします。

 

その場合、相続人の協議等により遺言の執行をすることもできますが、公正さを欠くことになったり、執行が困難な場合にそのまま放置されてしまったり、いつまでたっても執行されない可能性もあることから、遺言書で、相続人とは別の者を遺言執行者として指定しておくことが、とても有効です。

 

「遺言執行者」を指定するメリットについて

遺言執行者は、遺言の執行を単独ですることができるので、他の相続人が勝手に遺産を処分したり、遺言の執行を妨害したりすることを防ぐことができます。
遺言執行者は、相続人全員の代表として遺言を執行するので、煩雑で複雑な手続きを省略できます。
遺言の執行には様々な法務的な知識が求められ、また、手続きも煩雑で複雑ですが、専門家を遺言執行者に指定しておけば、確実かつ迅速に遺言の内容を実現できます。

 

「遺言の執行」の流れ(概略)について

ケースにより、順番が前後し、または、複数の事務を一緒(同時)にすることもあります。

 

・遺言執行者への就職(遺言指定、家庭裁判所による選任)
・遺言の有効性の検討
・遺言内容の有効性の検討、解釈
・相続人、受遺者の調査
・遺言執行者就職の通知
・相続財産の調査
・相続財産の保管、保全、管理
・財産目録の作成及び交付
・遺言内容の実現
・遺言執行の完了
・保管、管理物の引渡し
・任務完了の通知
・遺言執行の顛末の報告