成年後見

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成年後見制度とは、認知症・知的障がい・精神障がいにより、判断能力が十分でない方の権利を守り、生活の支援をすることを目的とする制度です(身体的な障がいのみである場合は利用できません)。

 

判断能力が不十分になってから利用する「法定後見制度」と、判断能力があるうちから自分で支援者を決めておくことで利用できる「任意後見制度」の2つがあります。

 

成年後見人は、生活状況、健康状態、医療・介護・福祉などのサービスの利用状況などに目を配りながら、本人を保護して、生活を支えます。

 

具体的には、次のような支援をします。

介護契約や福祉サービスに関する契約 施設入所に関する契約 医療に関する契約 要介護認定に関する手続き
定期的な収入の管理(年金など) 定期的な支出の管理(施設費、入院費、税金や公共料金など)
預貯金の管理(預貯金通帳の管理、預金等の出し入れなど)
自宅を含む不動産の管理など

 

しかし、医療同意など、次のようなことは、原則としてすることができません。
これらは、家族や親族にお願いしたり、行政や他の支援者と協議しながら対応することになります。

受診(健康診断を含む)・治療(インフルエンザ予防接種を含む)・手術・延命治療などに関する判断や同意
(連帯、身元)保証人となること 身元引受人となること
死亡後の様々な事務手続きや、葬儀・火葬・埋葬
買い物・介護行為・通院介助など

法定後見制度

本人の支援者(成年後見人など)を、本人や親族の意向などを総合的に判断して裁判所が選任し、この支援者が本人に代わって契約をしたり、本人がした不利益な契約を取り消したりして、本人の生活や財産を守る制度です。
本人の判断能力に応じて、次の3つの制度に分かれており、それぞれ、支援者の種類や、支援者の権限も異なります。

 

種類 判断能力 支援者
後見 全くない 成年後見人(成年後見監督人)
保佐 著しく不十分 保佐人(保佐監督人)
補助 不十分 補助人(補助監督人)

 

任意後見制度

将来、自分が認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ、自分が選んだ支援者(任意後見人)に、療養看護や財産管理など、代わりにしてもらいたいことを公正証書による契約で決めておく制度です。

 

法定後見制度と異なり、判断能力がある元気なうちに、自分の価値観や人生観をよく理解・把握してくれている人、自分が信頼している人を、支援者(任意後見人)として自分の意思で選び、自分に代わってして欲しいことだけを任せることで、自分らしい生活を実現させることができます。

 

この契約の効力は、判断能力が低下し、家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されてから発生します。
任意後見契約では、次のようなサポートをしてもらうことができます。

財産の管理・保存、金融機関の取引代行、公共料金等の支払い
生活用品の購入や支払い
税金の申告・納付
医療契約、入院契約、介護契約、要介護認定・更新申請など

 

なお、任意後見契約とあわせて、「継続的見守り契約」や「財産管理委任契約」を締結して、早い段階から援助を開始してもらうこともできます。
これにより、判断能力には問題はないけれども、身体的な衰えなどにより財産管理が負担となっている場合に、信頼できる人に財産管理を任せながら、スムーズに任意後見へ移行することができます。